粉じん爆発防護の

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爆発防護の考え方

爆発予防と爆発防護

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粉じん爆発により破壊されたプラント

装置を爆発災害から守るためには、爆発の発生可能性を減少させる爆発予防と一度発生した爆発から計画的に機器と人員を防護する爆発防護があります。 爆発予防の方法は、爆発が発生するために必要な条件を取り除く方法が取られます。一般的に行われている爆発予防としては、必要な着火エネルギーを与えないための静電気対策、爆発発生に必要な酸素量を抑制するためのイナートガス(窒素ガスなど)の封入による空気の除外、可燃性ガスの濃度低下ための、空気希釈などがなどがあります。

一見、爆発予防を実施すれば、爆発は起きなくなると思われますが、これは大変な誤解です。 ほとんどの場合、爆発はイレギュラーな状態で発生します。 すなわち、常用運転中は予防が完全に機能するが、機器の運転立上げ時、非常停止時、一次停止時、運転不調時、運転調整時などが、危険な状態になる可能性が高いと考えられます。

このような場合のために、爆発予防対策だけで済ませずに、爆発防護対策を完璧に実施して、計画的に爆発から防護ができるようにすることが重要です。

最近の爆発事故の罰則例

粉じん爆発防護は一部の乾燥設備(乾燥器)を除いては、法律による強制力のある規定がありません。しかしながら事業所が一度爆発事故を起こし、人身事故にいたる場合には重大な罰則が適用されております。以下は最近の爆発事故に対する罰則例等です。

発生年 所場 企業 爆発種類 被害 罰則
2005年 大阪府高槻市 金属部品加工会社 Y社 アルミ粉の粉じん爆発 従業員2人死亡5人重傷 安全管理に問題とし、社長と次長を書類送検
2006年 富山市 医薬品製造会社 K社 液の気化爆発 従業員1人死亡 法人と工場長、製造課長を労働安全衛生法違反容疑で書類送検
2007年 愛知県知多市 大手重工業会社 I 社 塗装気化爆発 2人死亡、4人軽傷 生産部次長ら5人を安全管理義務を怠りで書類送検
2007年 新潟県上越市 大手石油化学会社 S社 メチルセルロースの粉じん爆発 従業員16人重軽傷 製造部長ら3人を安全管理責任を怠りで書類送検
2008年 秋田県大館市 市役所ボイラー室 おがくずの粉じん爆発 ボイラー室の天井や軒が落下 市長が謝罪(注、罰則ではない)

爆発防護の目的

爆発防護には、次の二つの目的A、Bがあります。

  • 目的A = 爆発による機器内の最大到達圧力を低減し、機器が耐えられる圧力以下に抑える
  • 目的B = 爆発が発生した機器から配管で接続された他の機器への爆発、火炎の伝ぱんを制止する

目的Aは、一般的に理解されている防護目的ですが、目的Bは見落とされがちですので、注意が必要です。目的Aには、エクスプロージョン・ベント(爆発放散口)、爆発消炎ベント、爆発抑止システムがあります。目的Bには、高速爆発遮断弁、ケミカル・アイソレーションがあります。

爆発防護の基本方針

■目的Aの爆発防護の基本方針は次の順序で考えます。

  • 機器を耐爆設計にできないか
  • エクスプロージョン・ベント(爆発放散口)で機器を防護できないか
  • 機器は屋外設置であるのか屋内設置であるのか(できれば屋外設置にできるか)
  • エクスプロージョン・ベントが使用できない場合、爆発消炎ベントで対応できるか
  • エクスプロージョン・ベントが使用できない場合、爆発抑止システムで対応できるか
  • 既存機器では上記すべての対策が適用できない場合は、機器を新調する

■目的Bの爆発防護の基本方針は次の順序で考えます。

  • 機器の耐爆設計とセットで爆発を封じ込めできないか
  • ロータリーバルブなどの代用できるもので遮断を検討する
  • エクスプロージョン・ベントを機器に取付ける場合は、高速爆発遮断弁を検討する
  • 爆発抑止システムを機器に取付ける場合は、ケミカル・アイソレーションを検討する

爆発防護装置の選定

爆発防護装置の選定は、その機器、プロセスの防護目的、運転条件に合致するように慎重に選定する必要があります。代表的な組合せは次の通りです。

目的
A
目的
B
条件 エクスプロー
ジョンベント
爆発消炎
ベント
爆発抑止
システム
ケミカルアイ
ソレーション
爆発
遮断弁
1 - - 機器が耐爆設計されて
いる場合
- - - - - - - -
2 機器が屋外にある場合 - - - - - -
3 機器が屋外にある、シ
ステムのシャットダウ
ンが兼用できる場合
- - - - - -
4 機器が屋内にある場合 - - - - - -
5 すべての条件で理想的
な爆発防護
- - - - - -
6 機器が屋内にある場合
で、システムのシャッ
トダウンを兼用できる
場合
- - - - - -
7 - - 機器が屋外にあり、機
器単体だけを防護すれ
ばよい場合
- - - - - - - -
8 - - 機器が屋内にあり、機
器単体だけを防護すれ
ばよい場合
- - - - - - - -
*ケミカルアイソレーションは、爆発抑止システムの消化剤を配管へ放出し、化学的に爆発を遮断するシステム

爆発防護計画の留意点

■機器耐圧と機器変形圧

爆発防護の目的Aは機器自体を爆発による圧力上昇から防護することなので、機器耐圧が重要なパラメーターです。この場合の耐圧とは、正圧側の圧力です。ただし爆発防護を計画するためには、機器耐圧と言う曖昧な用語は使わずに変形圧を使用します。 変形圧とは機器が変形を開始するが、まだ破損はしない正圧側の圧力を言います。 爆発防護を考える場合、いかなる爆発防護装置で対応する場合でも少なくとも正圧側の機器変形圧が0.2barg( 20kPag)ある必要があります。補強を実施しても機器変形圧が0.2bargを下回る場合、また正圧側の変形圧が評価できない場合は、爆発防護はできません。既存機器は廃棄し、機器を新規購入する必要があります。
*注意: 弊社では、機器の変形圧評価は行っておりません。機器の製造元にお問合せください。 また、今後の方針として、変形圧の評価がしっかりできる機器メーカーから機器を購入する必要があると言えます。

■エクスプロージョン・ベントの使用に際して

エクスプロージョン・ベントは、その安価なところから広く普及していますが、使用上に多くの制限があります。 屋外に機器が設置されている場合で、最低0.2bargの機器変形圧が必要です。ただし、0.2bargだけの機器変形圧では必要となるエクスプロージョン・ベントの放散面積が膨大となり、設置面積を確保できない場合があります。 できる限り高い機器変形圧が望まれます。目安として0.5bargくらいの機器変形圧があれば、エクスプロージョン・ベントによる防護が比較的実施しやすくなります。 エクスプロージョン・ベントが屋内に設置されている場合には、屋内に爆発をそのまま放散することができませんので、放散ダクトで屋外へ爆発を導くことになります。ただし、放散ダクトの設置により爆発放散効率は大幅に低下し、爆発放散時の機器内圧は大幅に上昇してしまいます。 すなわち、より高い機器変形圧が必要となってきます。目安として、機器変形圧は最低でも1barg必要で、できれば2bargほしいところです。 機器耐圧をここまで上げられない場合は、エクスプロージョン・ベントは屋内で使用できません。他の爆発防護装置として、爆発消炎ベントまたは爆発抑止システムの採用を検討する必要がでてきます。

■爆発消炎ベント

爆発消炎ベント FlamQuench II 型は、屋内設置の機器変形圧が比較的低い機器で使用できる放散される火炎を消炎処理する優れた爆発放散設備です。ただし、製造コストが高く、価格レベルは 一般的なエクスプロージョン・ベントに比較して割高となります。

■爆発抑止システム

爆発抑止システムは、屋内設置の機器変形圧が比較的低い機器で使用でき、機器内の火炎も消滅させてしまう最高の爆発防護装置ですが、最新技術を駆使したアクティブシステムのため、エクスプロージョン・ベント等のパッシブシステムに比較して高額となります。

爆発抑止システムの動作ムービー
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